【長編】唇に噛みついて
どうしよう。
それを聞いたら……あたし、嬉しくてニヤける。
だって、須藤の初めてがあたしなんだって知ったら。
嬉しくて、嬉しくてしょうがなくて。
「何ニヤけてんだよ」
照れているのか、少しあたしを睨む須藤を見て、ちょっぴりあたしの中で意地悪が芽生えた。
「へー?あたしが初めてなんだ?」
「…………」
「そんなに好きなんだ?」
そう言って微笑みながら、須藤の顔を覗きこむ、と。
パチッと須藤と目が合い、思い切り睨まれた。
そして冷たい口調で言った。
「お前……襲われたいの?」
「っな!?」
チーン……。
撃沈。
あたしの意地悪は須藤にまったく通じず、グッと顔を近づけられる。
わわわわわっ!!
あたしは慌てて顔を離して、首を横に振った。
「嘘です!冗談です!許してください!」
すると須藤は顔を離して、ゆっくりとあたしを見た。
そして目を伏せて、あたしの頭を撫でた。
その仕草が、高校生の癖に妙に大人っぽく見えて、色気さえ感じる。
ボーッと須藤に見惚れながら、あたしは口を開いた。
「誕生日プレゼントさ……」
「ん?」
「何かほしいものないの?」
そう聞くと、須藤はスッと視線を逸らした。
そして須藤は再びあたしを見つめて口を開いた。