【長編】唇に噛みついて
てな訳で……今に至る。
あの時は乗り気だったけどさ。
校舎に入ってミニスカートのピチピチ女子高生見たら……。
自分が酷くおばさんに見えてきた。
だってあの生足だよ!?
あの足に、どう頑張ったって勝てるとは思えない……。
「……はぁ」
勝ち目のない自分の容姿にため息をついていると、スキップするように歩いていた真弓が振り返った。
「どうしたのよ?ため息なんてついて」
「いや……ピチピチには勝てないなぁって思って……」
そう言って肩を落としているt、いきなり真弓はあたしの胸座を掴んだ。
ええぇ!!?
突然の事で驚いていると、真弓は眉間に皺を寄せて言った。
「確かにあたし達は20歳超えて、もうミニスカのピチピチギャルは無理よ?」
「うん……」
「でもね?大人の色気ってもんなら、高校生に勝てるわよ!」
……大人の色気。
あはは、そんなもんあたしが持ってると思ってんのー?
「あんたはなくても、あたしにはあるわ」
腕を組みながらそう言って真弓は何度も頷く。
……っておおい!!
確かに自分でも思ったけど、それを真弓に言われる筋合いない!
「失礼な事言わないでよ」
あたしはボソッと呟いて真弓を睨む。
でも、その視線にも気づかないのか、気づかないフリをしてるのか、真弓は一切あたしを見ない。
っく……。
とことん黒い女だ、真弓。
そんな思いを込めて、あたしはもう一度真弓を睨んだ。