【長編】唇に噛みついて
ようやく離れた唇から空気を吸うと、あたしは真っ赤な顔で零を睨んだ。
「いいよって……言ってないのに」
そう言うと、零はニヤッと笑ってあたしを見下ろした。
そして余裕の笑みを浮かべた。
「でも……きーちゃんがほしそうな顔してたけど?」
「っな、そんな顔してないもん」
ムスッとして顔を逸らすと、零はまた唇を塞いだ。
でもさっきと違って激しいキス。
呼吸もできないくらいに、深く零は塞ぐ。
すると零の手が胸に伸びてきた。
「っちょ、嫌……」
あたしは慌てて逃れようとするけど、零は無表情であたしの瞳を見つめてくる。
そしてあたしの体を撫でながら言う。
「……体は嫌じゃないみたいだけど?」
「っ……」
真剣な目があたしを捕らえて、あたしの顔は真っ赤になった。
返す言葉を失っていると、零は再び手を伸ばした。
「っちょ……れ、い」
零が触れる場所が段々熱を帯びていく。
どうしよう……。
まずい。非常にまずい。
このままじゃあたし……犯されるぅー!!
あたしは精一杯の力で零の胸を押した。
「学校で何やってんだ、発情野郎〜!!」
力一杯押したおかげで、零はあたしから離れた。
その瞬間、零はあたしを睨みつけた。
「てめぇ……何しやがる」
こ、怖っ!!
でも……負けないもん!!