【長編】唇に噛みついて


そして唇にも……。
顔が近づいてきてそっと目を瞑る。
と。


「もっと一緒にいたいけど……そろそろヤバイんじゃん?」


「え?」


突然そう言われてキョトンと目を開ける。
すると零はあたしに覆いかぶさりながら、時計を見た。


「もう9時」


「え?え?」


どういう事……??


意味も分からずキョトンとしていると、零はあたしを見下ろして言った。


「もしかして気づいてない?……今日、月曜日」


へ?
……月曜日?


ボーッとしながら携帯を開いて曜日を確認。
すると待ち受け画面には、月曜日の文字。


月曜日……。
月曜日って、1週間の始まりの月曜日だよね?
仕事が始まる月曜日だよね?
…………。


「あぁ!!!!!」


仕事!!!
すっかり忘れてた!
てか、今日月曜日である事を忘れてた!!!


8時出勤なのに、もう9時!!
完璧……遅刻だ。


ガックリ肩を落としていると、零にいきなり腰に腕を回され引かれると、あたしは零に抱きしめられた。


「ちょっ!!」


こんな時に何すんのよ!!


睨むと、零はフッと微笑みながら口を開いた。


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