【長編】唇に噛みついて
「じゃぁ、言わせてもらうけど!真弓は、間島くんと一緒にいられればそれでいいの!?」
今まで黙っていたあたしが突然声を荒げて、真弓は目を丸くしている。
でもその姿を見ていても、あたしは止める事ができなかった。
「真弓は、一緒にいたいって自分の気持ちだけを大切にするの!?」
あたしは……。
あたしだって……。
「あたしだって……一緒に、ずっと傍にいてほしいよ」
視界がどんどんぼやけていく。
前にいる真弓の顔が見えなくなっていく。
「あたしだって、一緒にいたい。抱きしめてほしいよ……。離れたくなんてないよ」
でも……。
「大好きだから……。ホントに大切だから、零の未来も大切にしたいの」
ホントはずっと一緒にいたい。
朝1番に“おはよう”って言いたいし。
夜最後に“おやすみ”って隣で言いたい。
一緒にご飯だって食べたいし。
ずーっと傍にいたい。
でも、そんな思いも我慢しようって思えるくらいに。
零が大好きで、零の未来を大切にしたい。
この離れた時間で、零はあたしからホントに離れて行っちゃうかもしれない。
傍にいる事できなくなるかもしれない。
そう思うと、怖くて仕方ない。
考えただけで、涙が出てきそうだ。
でも……あたしは。
……どんな事だって我慢するよ。
どんな事だって堪えるから。
零が夢を叶える姿を隣で見たいんだ。
「零の……夢を、あたしは壊したくない」