【長編】唇に噛みついて


微笑みながら答えるりっちゃん。
するとおじさんは笑顔で言った。


「楽しんで来てなぁ。それからお幸せに」


「ありがとうございます」


何て言いながらあたしの腕を引いて歩き出すりっちゃん。
あたしは複雑な気持ちでついて行く。


……何で否定しなかったのかな。
あたし達付き合ってないのに。
りっちゃん……何を考えてるんだろう。


そう考えていると、あたしはハッとする。


そういえば……。
おじさんに恋人って間違われるって事は。
みんなもそういう風にあたし達の事見てるのかな。
そりゃ、よく考えたらそうだよね。
だって……。
男女が2人で一緒に遊園地来てるんだもん。
だとしたら、まずい!
零と今こんな気まずい感じなのに。
りっちゃんと一緒に遊園地なんて……。
いけないと思う。


「あの……りっちゃん、あたし」


「やっぱさぁ……最初はジェットコースターだよね♪きー乗れる?」


「え……乗れるけど」


咄嗟につられて返事をしてしまったあたし。
あたしの返事に笑顔でりっちゃんは歩き出した。


「よし、行こうか♪」


げ、しまったぁ!!
返事咄嗟にしちゃったよ!


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