【長編】唇に噛みついて


そして……。
半ば強引にジェットコースターに乗せられたあたし。


「きゃああああああああ!!!」


「あははは!」


もんのすごい悲鳴を出して乗り終えたあたしは、少しテンションが上がっていた。


「すごっ……久しぶりに乗ったから怖かったぁ」


「きーめっちゃすごかったな」


「だって、怖かったんだもん。……はは、お腹痛い」


可笑しくて笑うと、りっちゃんは優しい笑顔であたしを見つめてきた。
それに気づいたあたしはキョトンとしてりっちゃんを見上げた。


「どうしたの?」


聞いてみるとりっちゃんは優しく呟いた。


「やっと笑ったね」


「え?」


「さっきまでずっと、きー……作り笑いばっかしてたから」


りっちゃん……。
気づいてたの?
全然あたしの話聞いてないと思ってたのに。


「あ……」


そっとあたしに向き合うように歩み寄ってきたりっちゃんは優しく微笑んだ。


「やっぱりきーは、笑ってた方がいいよ」


トクン……。


小さく心臓の動きが変わった気がした。
それに少しあたしは戸惑う。


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