【長編】唇に噛みついて
再会。キス。
⌒⌒Kiyona
\/side
「で?帰ってきちゃった訳?」
次の日。
会社で真弓と昨日の愚痴。
真弓はどうやら間島くんとはうまくいったらしい。
ま、そんな事はどうでもいいんだけど。
「だってムカつくし」
簡単に好きでもない女抱けるような男。
大嫌いだもん。
すると真弓は、はぁ……と溜め息をついた。
「たまには遊んでみたらいいのにー」
「あのねぇ。キスとかエッチはあたしにとって遊びじゃないの」
それを遊びだと言える奴の気持ちが分かんないわ。
ムッとしていると、真弓は携帯を開いてパァッと顔を明るくした。
それで分かる。
「間島くんからだ♪」
……やっぱり。
あたしは頬杖をついてフイッと視線を逸らした。
楽しい恋をしてる真弓が羨ましいわ。
ま、この子は遊びだとしても楽しんじゃうからなんだろうけど。
あたしそんなに器用じゃないし。
いつも辛い終わりばっか。
最終的にはあたしの性格を理解してくれずに別れを告げられるか。
……浮気。
男運悪いんだなぁ。あ、男を見る目がないのか。
でもどっちにしても、辛いならもう恋なんかしたくない。
傷つくのが、怖い。
あたしの性格を否定されるのが、怖い。
だったら、友達と笑ってた方がずっといい。
でもホントは、頑張る恋に……疲れちゃったんだ。
今までずっと。
あたしは彼氏に尽くしてきてたから。
好きになってもらいたくて。
もっとあたしを求めてほしくて。
すごく頑張ってたから。
だから……疲れちゃった。