【長編】唇に噛みついて

それでも好き。


⌒⌒Kiyona
\/side


覚悟は決めた。
もう迷わない……。
だからあたしは、この気持ちを伝える。


仕事を早く切り上げ……。
あたしは見慣れた校舎の校門の前に立っていた。


もう迷わない。
進むために勇気を出した。


覚悟は決めてきたけど、体は強張り……。
心臓はドキドキいう。
無意識に拳を握ってしまう。


そっと顔を上げると、校舎から待っていた人が出てくる。
それを見つけ、あたしは一歩足を踏み出す。
するとあたしに気づいたらしく、優しく微笑んであたしに向かって歩いてくるりっちゃん。


「きー、どうしたの?」


「うん……りっちゃんに、話があって」


そう言ってあたしはりっちゃんを見上げる。
するとりっちゃんはあたしの表情に、少し目を伏せた。
そして再びニコッと笑って頷いた。


「分かった……。じゃぁ、ここじゃなんだし。どっか行こうか」


りっちゃんの言葉にあたしは頷く。


風が……。
あたし達の間を吹き抜けていく。
まるで……。
2人の気持ちを表しているように、空気が切なく揺れた。


< 278 / 286 >

この作品をシェア

pagetop