【長編】唇に噛みついて
それでも好き。
⌒⌒Kiyona
\/side
覚悟は決めた。
もう迷わない……。
だからあたしは、この気持ちを伝える。
仕事を早く切り上げ……。
あたしは見慣れた校舎の校門の前に立っていた。
もう迷わない。
進むために勇気を出した。
覚悟は決めてきたけど、体は強張り……。
心臓はドキドキいう。
無意識に拳を握ってしまう。
そっと顔を上げると、校舎から待っていた人が出てくる。
それを見つけ、あたしは一歩足を踏み出す。
するとあたしに気づいたらしく、優しく微笑んであたしに向かって歩いてくるりっちゃん。
「きー、どうしたの?」
「うん……りっちゃんに、話があって」
そう言ってあたしはりっちゃんを見上げる。
するとりっちゃんはあたしの表情に、少し目を伏せた。
そして再びニコッと笑って頷いた。
「分かった……。じゃぁ、ここじゃなんだし。どっか行こうか」
りっちゃんの言葉にあたしは頷く。
風が……。
あたし達の間を吹き抜けていく。
まるで……。
2人の気持ちを表しているように、空気が切なく揺れた。