【長編】唇に噛みついて
そう言うと、鼎は何度も頷いた。
でも……。
「うっ……ふぇ~」
泣き続けて、とても会話になりそうにない。
そう思いオレは、鼎が落ち着くのを待つ事にした。
――――――……。
10分は経っただろうか。
しばらくしてようやくすすり泣く程度に鼎が落ち着いた。
それを見てオレは鼎を見つめて言った。
「鼎……話、できるか?」
「……はぃ」
自分のハンカチで目元を拭って鼎は返事をした。
そして鼎はゆっくりと語りだした――――……。