【長編】唇に噛みついて
待ち伏せ
⌒⌒Kiyona
\/side
次の日。
あたしは目の下にクマを作って会社へ向かった。
「あんたそのクマどうしたのよ?」
先に来ていた真弓は頬杖をついてあたしを見る。
「……寝不足」
「見れば分かるっつーの」
突っ込まれたあたしは無言で真弓を睨んだ。
すると真弓は首を傾げた。
「何で寝不足?」
「……ぇ」
何でって……。
高校生にキスされて、それ気にして寝れなかった……。
なんて、言えない。
どうせ。
“それくらいで気にしてんのー?子供だなぁ”
って言われるに。
決まってる。
「DVD!観てて」
誤魔化すように笑って見せると、真弓は少し冷たい目であたしを見る。
「何の?」
何の?
えーーーっと……。
「恋愛モノだよ」
「ふーん……」
って何だその反応は。
あたしはそういう系観なさそうってか?
失礼じゃないか?
あたしだって観るし!
……ま、観てないけどさ。
「なぁーんだ。男と何かあったかと思った」
っげ……。
鋭い。
「んな訳ないじゃん!あたし興味ないし!」
あはは……。
苦笑いしながら頭を掻いた。