【長編】唇に噛みついて


「何でここにいるのよ!」


あたしは咄嗟に自分の前で腕をクロスさせてガードしながら須藤を睨んだ。


「きーちゃんに会いたくなったから」


って。
何赤くなってんの!あたし!


「あたしは会いたくない」


顔を赤くしながら須藤から視線を逸らした。
すると須藤はニッと意地悪な笑顔であたしを見下ろす。


「きーちゃんの気持ちは関係ない。俺が会いたかったら会うの」


な!?
こいつ!ホントに自己中!


「あたしの意見は無視か!?」


「うん」


「……はぁ」


あたしは大きく溜め息をついた。
すると須藤はあたしの頬に触れてニコッと微笑んだ。


「それに。そろそろきーちゃんの唇の感触忘れそうだったから」


「は!?」


ゆっくりとあたしの顔を上げさせて顔を近づけてくる。
そして意地悪な笑顔で口を開いた。


「キスしたい」


そう言って須藤は顔を近づけてくる。


ふざけんな!!
人前で、しかも好きでもない男とできるかぁ!


「……っぐ」


あたしは咄嗟に須藤の顎を手で押した。
そして須藤の顔を自分から離すと、須藤はその手を掴んで不機嫌そうにあたしを睨んだ。


「何よ。あ、あたしは悪くないからね。悪いのは、キスしようとした須藤なんだから」


あたし何も悪くないもん。


須藤を睨んでいると、須藤は不機嫌そうに言った。


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