【長編】唇に噛みついて
あたしは水谷を冷たい目で見つめながら言った。
「どうせ合コンでしょ?」
そう聞いてみると、水谷は目を見開いた。
「お!よく分かったな」
ほら……。
やっぱり、思ったとおりだ。
「だったら話は早い。今日来てくんね?」
「やだ」
あたしはパソコン画面を見つめながら断った。
「何でだよ!」
は?
何でそこでキレられなきゃいけないのよ。
「あのねー。あたしはこの前の合コンでとんでもない目にあってんの。誰が好き好んで行くかっての」
あの合コンに行ったせいで……。
あたしはあんな自己中野郎に目つけられたんだよ!
すると水谷は必死になってあたしに両手を合わせる。
「あの時のは謝るって!!でも今回は大丈夫だから!」
どこからくるんだその根拠は……。
呆れたあたしは水谷を見つめた。
するとヒョコッと顔を出した真弓が水谷に言う。
「水谷ー。聖菜は駄目だよ」
「え?」
真弓の言葉に水谷はあたしから少し離れた。
「聖菜は合コン行かないよ」
真弓……。
やっぱりあなたはいい子!
あたしを助けてくれるのね……!!
あたしは涙を浮かべながら真弓を見つめていると、真弓は無表情で言った。