【長編】唇に噛みついて
「その子には須藤くんっていう人がいるから」
……は?
真弓の言葉に固まっていると、水谷はあたしを見て納得したように手を叩いた。
「あ!そうだったのか」
って、何納得しとんじゃぁ!!!
「違う!断じて違う!!」
あたしはバン!!っと机を叩いて立ち上がった。
そして水谷と真弓を睨んだ。
どっからそんな話が出てくるのよ!
すると水谷と真弓は言葉を失っているあたしなんて気にせずに話している。
「いつの間にかあの高校生といい感じだったのかぁ。柏原」
「そーそー。大分須藤くんに気に入られちゃってるみたいで」
「え!?マジで!?」
「しかも、聖菜もまんざらでもないみたいだし」
はぁ!!?
「ちょっと待って!デタラメ言わないでよ!」
あたしは慌てて2人の会話に入る。
すると真弓は目を細めた。
「は?何言ってんの。デタラメじゃないくて、真実でしょ?」
「はぁ!?違うって」
真弓を睨んでいると、水谷は微笑みながら口を開いた。
「そうだったのか……。柏原、合コンに誘ったりして悪かったな?そうだよな。おれだって気になる人いるのに合コンなんて行きたくないもんな」
……こいつ。
何を言ってんの?
水谷を見ていると、水谷はあたしの肩に手を置いて言った。
「ついに柏原にもそういう相手ができたか。……高校生と幸せになれよ」
プチ……。
あたしの中の何かが切れた音がした。