【長編】唇に噛みついて
午後8時。
あたしは1人……残業をしていた。
「うーん……」
終わらない。
こんなにやる事あったけ?
あたしこんなに仕事してなかったの?
あ、だからこうやって残されてるのか。
自分で納得しつつ、やっていたけど……。
いい加減集中が切れた。
「はぁ……」
窓の外を見ると、すっかり暗くなっている。
あたしは気分転換に窓に近寄って見ると、まだ雨が降り続いている。
真弓に傘借りといてよかった……。
そう思いながらあたしはバックから財布を取り出して歩き出した。
疲れたし。
コーヒーでも買ってこよう。
近くにある自動販売機に着くと、あたしは口を開く。
「はぁ~?ブラックしかないじゃん」
微糖の文字があるコーヒーには赤字の売り切れの文字。
嘘でしょ?
あたし微糖がよかったのに……。
ムッとしながらあたしは売り切れの文字を睨んだ。
でも睨んでも微糖が飲める訳でもなく……。
あたしはため息をついて、ブラックのボタンを押した。
何か今日はムカついてばっかだなぁ。
ボーっとしながらコーヒーの缶のふたを開けて口につける。
少し口に含むと、苦味が口に広がる。
「うぁ~……苦っ」
やっぱ好きになれないわ。
そう思いながらあたしはゆっくりと戻る。
そして頑張ってブラックを飲み干すと、席について伸びをした。
何気なくバックに視線を落とした時。
携帯が光っている事に気づいた。