【長編】唇に噛みついて
わぁーーん!!
なんて大泣き何年ぶりだろう。
そんなあたしの背中を擦りながら真弓は水谷に聞く。
「てか。水谷何しに来たの?」
すると水谷は口を開いた。
「実はお前等に合コン誘いに来たんだよ」
「はぁ!?」
お前正気!?
あたしの話聞いてたか!?
あたしは今失恋して男性不信なの!
そんなあたしに合コン誘ってくるか?
すると水谷はあたし達に拝むように手を合わせた。
「頼む!頭数合わせなきゃなんねぇんだ!2人美人だし!頼むよ!」
「いいよぉ」
「やだ」
微笑みながらOKする真弓と、即答で断るあたし。
行く訳ないじゃん。
フイッと視線を逸らして頬を膨らませていると、水谷はあたしに手を合わせた。
「柏原頼むよ!金は男持ちだし。タダ酒飲めるチャンスだぞ!?」
その言葉にあたしはピクッと反応した。
タダ酒……?
これはヤケ酒できるチャンスじゃない?
「タダなら……いいかな」
「よっしゃー!!」
あたしの返事にガッツポーズする水谷。
あたしはまだ知らなかった。
この合コンで、あたしの人生が変わってしまう事を……。