【長編】唇に噛みついて
……。
「で……?何これ」
水谷に言われて向かった居酒屋の指定された席に座る人達を見て、あたしはそう呟いた。
そんなあたしの横で目を輝かせた真弓はニッコリ笑った。
「高校生と合コンなんてテンション上がるー♪」
「こんばんはー」
顔を引きつらせるあたしと、ニコニコでテンション上がってる真弓の前のテーブルであいさつをしてくるピチピチの男子校生。
あたしは隣にいる水谷の腕を掴んで顔を近づけた。
「何?これ」
あたし……合コン相手が高校生なんて、聞いてないんだけどー!!?
すると今にも怒鳴りそうなあたしを見て水谷は苦笑い。
そしてあたしの視線から逃れようと、視線を逸らした。
「何って……合コン?」
知ってるわ!
あたしはムッとしてさらに水谷に顔を近づける。
「そうじゃなくて、何で相手が高校生なのよ」
「それは……」
「それは?」
水谷の言う事に食いつくあたし。
そんなあたしをずっと見ずに水谷は笑った。
「おれの弟に年上の女紹介してって頼まれたからさぁ?」
は?
「だったらその説明をちゃんとしてよね」
高校生だなんて聞いてないし。
悪いけどあたし……。
ガキに興味ないし。
てか、詐欺だろ!?
23のあたしが高校生に手出したら!