【長編】唇に噛みついて
気づいたら言葉に出てた。
すると須藤は少し戸惑ったようにあたしを見つめる。
「……え?」
そのいつもと違う表情を見て、ハッとしたあたしは笑顔を作った。
「って、何でもない!気にしないで」
少し違う様子の須藤を見てあたしは、立ち上がった。
そして須藤の前にあるコップを持ってキッチンへ足を向ける。
「待て……」
「え?」
突然須藤が口を開いてあたしは振り返った途端。
須藤に腕を引っ張られた。
予想もしていなかった行動に、あたしは抵抗もできずベッドに倒れ込む。
またぁ!?
「ちょっと!いい加減にしてよ」
本日二度目の押し倒しに、眉間に皺を寄せて睨もうとしたけど。
須藤の優しい表情に、言葉が詰まった。
「聖菜……」
「な、に?」
ドキドキが止まらない。
まだ体調が回復していない須藤の目が少しうつろで、それがすごく色っぽくて。
ホントに高校生なのかって聞き返したくなる。
「お前、やっぱ最高だわ」
「はい!?」
ゆっくりとあたしの胸元に頭を寄せて、須藤はあたしに抱きつく形で横たわる。
そしてあたしの首元に顔を埋める。
その行動にあたしは大パニック!!
今の体勢危険!
すっごい危険!!
「須藤っ……」
抵抗して須藤から離れようとするけど、須藤はあたしを見上げる。
自然と上目遣いになる須藤を見て、あたしの顔はボッと赤くなる。
上目遣いで、格好よさ2割り増し。