【長編】唇に噛みついて
「ん……」
眩しくて目を覚ますと、朝。
え?
あたし……朝まで寝てたの!?
バッと顔を上げると、須藤があたしに抱きつくように眠っていた。
この状態でずっと寝てたの?
「やば……」
どうしよう……。
いい加減離れなくてわ……。
またまたその手から逃れようとするけど、やっぱり無理。
はぁ……っとため息をついた時だった。
スッと須藤の骨っぽい手があたしの胸に伸びてきた。
「ん?」
その感触に気づいて下を見下ろすと、
「はよ」
ニッと笑った須藤の顔が見えた。
「って、何触ってんのよ!?」
あたしは慌てて須藤の手をバシッと叩いて離れた。
すると不機嫌そうに須藤はあたしを見つめる。
「え?いいじゃん……減るもんじゃないし」
こいつっ……。
減るもんじゃないって……。
睨みつけていると、須藤はフッと笑って自分の胸元に手を添えた。
「むしろ大きくなんじゃん?」
「最っ低!!」
あたしは顔を背けてベッドから起き上がろうとした。
すると須藤はそれを許さない。
これ……。
何回目?
どんだけあたしベッドに押し倒されてんのよ。
って自分でツッコみたくなるわ。