【長編】唇に噛みついて
それから2時間。
あたしはお酒を飲み続け、ベロベロ。
まったくあたしは男子校生に相手にされずに1人で飲み続けた。
何よ……。
イチャイチャしやがってぇ。
周りですっかりカップルが出来上がって、甘い空気が漂っている。
普通に考えて、合コンである以上。
男女人数は同じ。
普通なら1人男が浮いてる筈なんだけど。
どうやらもう1人は遅刻してくるらしい。
可哀想に。
遅刻して相手選べない上に、余りがあたしだなんて。
その人に少し同情。
「うっぷ……」
ヤバイ……。
さすがに飲み過ぎた。
気持ち悪い。
吐きそう。
あたしは口元を手で押さえて立ち上がるとトイレへと向おうとした。
その時だった。
「って……」
「あ、ごめっ、う」
俯いていたから人の存在に気付かずぶつかってしまった。
「お、零。遅かったな」
男子校生の1人がそう言って顔を上げる。
ぶつかった衝撃であたしは限界に達してしまい、慌ててトイレへと駆け込んだ。
「うえぇ……」
気持ち悪いー。
あたしは戻すと、トイレの隅にしゃがみ込んだ。
もうやだ……。
酔ったせいか、無性に悲しくなってあたしの目に涙が溢れた。
視界はぼやけてあたしは膝に顔を埋めた。
男の馬鹿野郎……。
どうせ男はヤれればいいのよ。
所詮そんなもんなのよ。
「うっ……ふっ……っく」