【長編】唇に噛みついて
そう思い、あたしは一瞬恥ずかしさと戸惑いで言葉がでなかったけど、何とか重い口を開いた。
「あのさ……」
「うん」
キラキラ輝いた目で見つめてくる真弓。
う……。
何か言いにくいな。
「あたし……須藤が好きなんだよね」
「は?」
「え?」
予想もしていなかった反応に、あたしは間抜けな声を出してしまう。
すると真弓は口を開いた。
「は?今更?」
「え?」
……今更?
ますます真弓の反応が分からない。
すると真弓は頬杖をつきながら言った。
「あんたが須藤くん好きなのは……分かってたわよ」
「は?」
「あんたは分かりやすいからね」
「え?」
「てか、聖菜気づくの遅すぎる」
「…………っ」
何か見下されてる感じがする。
まぁ実際見下されてるよね。
そう思っていると、真弓があたしの頭を撫でた。
「まぁ……気づいたのなら、今からでも遅くない。頑張りなさいよ」
そう言って真弓は可愛らしい笑顔を見せた。