【長編】唇に噛みついて
それって……。
そういう意味??
お気に入りを奪われたくないって……。
ねぇ、須藤……。
どういう意味なの?
すると須藤はニコッと笑ってあたしの目を見つめてきた。
「きーちゃんも俺にそろそろ夢中になってきた?」
「!!?」
思いがけない一言にギョッとするあたし。
「きーちゃんにとって俺はお気に入り?」
「っ……」
顔が熱い。
でもあたしはバッと背を向けて、歩き出す。
「馬鹿言わないで!」
赤い顔を隠しながらあたしは早足で歩いた。
そんなあたしの後ろを笑いながらついてくる須藤。
「そろそろ俺のアタック効いてきてもいいんだけどなー」
なんて言ってるけど。
もう夢中になってるよ。
虜になってるよ。
お気に入りになってるよ。
……馬鹿野郎。