【長編】唇に噛みついて


それって……。
そういう意味??


お気に入りを奪われたくないって……。
ねぇ、須藤……。
どういう意味なの?


すると須藤はニコッと笑ってあたしの目を見つめてきた。


「きーちゃんも俺にそろそろ夢中になってきた?」


「!!?」


思いがけない一言にギョッとするあたし。


「きーちゃんにとって俺はお気に入り?」


「っ……」


顔が熱い。
でもあたしはバッと背を向けて、歩き出す。


「馬鹿言わないで!」


赤い顔を隠しながらあたしは早足で歩いた。
そんなあたしの後ろを笑いながらついてくる須藤。


「そろそろ俺のアタック効いてきてもいいんだけどなー」


なんて言ってるけど。
もう夢中になってるよ。
虜になってるよ。
お気に入りになってるよ。
……馬鹿野郎。


< 95 / 286 >

この作品をシェア

pagetop