ばいばい
あたしは今の康の言葉を、聞き逃さなかった。
上に向いていた顔が一瞬にして、康の方へ向いた。
「今…なんて?」
「…何も言ってません。」
「絶対言ったよ!」
「……ことが好き。
って言ったの。
これで満足?」
…今日は寒いはずなのに、
あたしだけ…?
体がどんどん熱くなっていく…。
「…康?」
「何?」
「…康じゃないよっ!
康は好きなんて…
あたしに…
言ってくれたこと…ないもん…。」
あたしはどんどん涙が溢れてきて、止まらなくなった。
必死に何かを訴えようとしているもう1人のあたしがいる。
もう一人のあたしは、今までずっと思ってたことを、初めて口にした。