ばいばい

あたしは、上を向いている康に向かって、言っていた。

康はあたしが言い終わると、こっちを真っ直ぐ見て言った。


「…俺だよ。

そうだよな…。

初めて言った。」


「…どうして…急に…。」


「…母さんに言われて…。」


康はあたしの涙を、拭いながら話した。


「え?」


「ちゃんと1回ぐらいは自分の気持ち言えって。

恥ずかしいんだけど…母さんに言われて、初めて気付いた。」



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