ばいばい
少しづつ、夏姉が近づいてくるのが分かった。
そして、あたしを優しく抱きしめた。
「…こと…?
ごめんね。
…言えなくて。」
「明日じゃなきゃ…だめ?」
「…うん。ごめん。
あたし、大学で発表があってね?
夏休み明けたらすぐだから、原稿書かなきゃ…。」
消えてしまいそうな小さな声で夏姉が言った。
あたしは、流れそうだったすべての涙を堪えて、夏姉の肩に、頭を乗せた。
「…ふふっ!ごめんね!」
「こと…?」
「それなら、応援する。
絶対成功してきてよ!」
「…うん!
また年末に会おうね!」
「うん!」