ばいばい
―――入学式一週間前・高原家
「康!
はい、これ。」
高原康。
高原家の一人っ子。
高校に合格して、琴音と同じ高校に行けることになった。
母さんが渡して来たのは、高校のスクールバッグと制服。
「こっちゃんと、同じ高校に受かって良かったね!
頑張ってよ?」
「うん。」
「あ!
ねぇ、こっちゃんに、気持ち伝えたことある?」
母さんは俺が座ってたソファーの隣に座って、俺に顔を近づけてきた。
「…何?急に。
怖いんだけど。」
「…いいから!
あるかどうか聞いてるの!」
「…ないです。」
母さんの勢いに負けて、俺は正直に答えた。