ばいばい





気付けばあたしは2人を避けて遠回りで帰っていた。

家に入ってすぐあたしは部屋にこもった。


「ことー?

ご飯、いらないの?」


お母さんがいつもならあたしからすぐに降りるのに、降りてこないのを心配して呼びにきていた。


「…いらない。」


あたしは聞こえるか、聞こえないぐらいの声で言った。

お母さんは、静かに降りていった。


「…バカ…。」


あたしは小さくつぶやいた。

そしてポケットから携帯を取り出した。


【件名:無題
 本文:明日、先に行ってる。】


たったそれだけ。

あたしは送った。

どっちみち教室が同じだから会うことには変わりはないんだけど。

朝だけでも避けたい。

2人の時間があったら、きっと…あたしは言ってしまう。



―――“昨日、誰と帰ったの?”―――






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