ばいばい

「あれ、早いね!」


背後から聞こえた声に振り返ると、海月くんがいた。


「…あ、おはよう…。」


「…琴音ちゃん!?」


狭い教室を走ってあたしの所まで走ってきて、あたしの顔を覗いた。


「…ははっ…!

やっぱり…おかしいかな…?」


「いや…おかしかないけど…。

一瞬誰が分かんない。

てか、康は…?」


海月くんは、周りを見渡しながら聞いた。


「…一緒に来てないよ!」


泣かないように、ばれないように、精一杯の笑顔で返した。


「…あのさ、康のこと…」


「よぅ!海月~!」


海月くんを呼ぶ声が、扉から聞こえてきた。



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