ばいばい
「康は、こっちゃんのこと、好きなんでしょ?」
「…うん。」
恥ずかしくて、答えたくなかったけど、俺は正直に答えた。
「じゃあ、こっちゃんにちゃんと伝えなきゃいけないことは伝えなさい。」
いきなり真面目な顔になった母さんを見て俺は、「うん。」とだけ、答えた。
好きなんて、言ったことない。
好きだけど…恥ずかしくて言えない。
それに、こういう、付き合うとか苦手な俺が、琴音の気持ちに気付くわけがなかった。
「彼氏、失格かもなあ…。」
俺は小さくつぶやいた。
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