ばいばい
康があまりにも意外な行動に出た為、あたしは反射的に後ろを向こうとした。
「…後ろ向くな。」
康の低い声と同時に、あたしは後ろから抱かれていた。
何が起きていて、あたしは今何をしているのか、全く分からない。
緊張しすぎて、頭がおかしくなっていた。
「…康……?」
やっとの思いで声を出した。
あたしはこれだけでもう、精一杯だった。
「…ごめん…。
びっくり…したよな。」
腕を離すなり、すぐに立ち上がって、あたしとは反対方向を見ていた。
「…うん……。」
あたしも中々目が合わせられなくて、俯いたままだった。