ばいばい
「めずらしいね!
携帯触ってるなんて。」
あたしは、康と携帯の間に、顔を突き出して、康の顔を覗き込んだ。
「…びっくりした。」
「はははっ!
あたしに気付いてなかったの?」
あたしは、康と並んで門を出ながら聞いた。
「ごめん。
メール来てたから、返してた。」
「ふ~ん…。」
あたしはちょっと意味深に答えた。
…疑えない。
康はいい人だから。
誰にでも優しいから…。
「…疑いたくても、疑えない?」
「…え?」
「あ、図星だ…!」
そう言いながら、あたしを指差した。
そして、いつもと同じ、意地悪に笑って見せて、また言った。