ばいばい
あたしはゆっくりと目が覚めた。
「…ここは…保健室…?」
視界はぼやけてる。
だけど…、薬のにおい、保健の先生の趣味の花のにおい…。
保健室独特のにおいがあたしの鼻を通っていく。
「あ、やっと起きた?」
「…え…?」
あたしが顔を左側に傾けると、誰かが向こうから歩いてきて椅子に座った。
少しすると、ぼやけていたのがはっきり見えた。
「…康…?」
「そうだよ。
サッカー部終わったから体育館行ったら、櫻木とか、誰もいねーんだもん。
びっくりしたよ、まじで。」
康は笑いながら言った。
優しい笑顔はあたしを少し落ち着かせてくれた。