sky blue
『瑠璃へ』

この字を見たとたん罪悪感と一緒になぜか安心できて、彰平はもうこの世にいないのだと思い知らされた。
もう、遠くに行ってしまったんだって。
もう......二度と会えないんだって。

『瑠璃へ
 この間はゴメンな....。気持ちの整理ができなくて、瑠璃に八つ当たりっぽくなっちまったから。
 本当にゴメン。』


謝らなきゃいけないのは私のほうなのに、なんで彰平が謝るの?
彰平はいつも自分のことより私なんかのことを考えてくれた。


『この手紙を書いたのは、瑠璃に俺の気持ちを伝えたかったから。
 手紙にしたのは、俺がしゃべるの緊張するから。』


彰平は恥ずかしがりやだったよね。
イジワルなくせして......。


『正直言って、瑠璃が鈴と付き合うって聞いてショックだった。
 けど、それと同じぐらい安心した。
 ショックだったつーのは、記憶をなくした瑠璃が鈴を選んだのは、瑠璃の本心だったからじゃないかって思ったから。
 安心したのは、鈴だったから。』


彰平は私の身勝手な行動でショックを受けてたの?
私のいないところで1人で悲しんでたの?
私のことを責めないでいてくれたの?


『瑠璃は鈴の前では自然に笑ってたから。
 瑠璃の幸せが一番だから。』


自分の幸せより私の幸せを願っていてくれたの?
彰平を傷付けた私を見ていてくれたの?
私の行動で彰平を深く傷付けてしまったていうのに?
見守っといてくれたの?
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