からっぽな街
けれども、初めは、そこまでテツヤを好きではなかった。一緒に住むことになったのは、二年前。お互い、知り合ってまもなくのことで、家を出るタイミングが同じだったのと、一緒に住むことが嫌ではなかっただけの話。
特別好きだったわけでも、長い間一緒に付き合ってきたわけでもない。一緒に住むまでの時間は、四ヶ月も必要としなかった。
十九才の時の私は、池袋のデパートで、アパレルショップ店員として大好きなショップで、大好きな洋服達に囲まれながら、生活に必要な資金を稼ぐために、販売の仕事に励んでいた。その時の職場の先輩が、テツヤを紹介してくれたのだ。
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