からっぽな街

「おつかれさま。ねえねえ、ユウちゃん、男の子に興味ない？」
「男の子って、別に、興味なくはないですけど。」
「ユウちゃんって、彼氏いないよね。」
「はあ。」
「あのさ、友達が、ユウちゃんの写真見て、紹介してっていってるんだけど、もし良かったら、友達から、始めてみない？」
「ええ。」
「すっごくいいやつなの。それに、イケメンだよ。」
「えー。うーん。そういうの、苦手です。」
「いーから、いーから。ね。お願い。興味なかったら、メールしなきゃいーだけなんだしさ。ね。お願い。」
だから、始める前から興味がないと言っているのに。けれども、必死に頼む姿を見ると、断ることが、出来なかった。半ば、強要されるように、携帯電話の番号を交換することになった。
その晩、知らない番号からメールが来たので、一瞬、職場の友人の顔が浮かび、その後すぐに、その男だと思った。