からっぽな街
「変だよ。普通過ぎ。」
わざと、不機嫌に言う。名前のままは、どうしても嫌だった。
「うーん。どうしよっかなあ。」
腕を組んで、頭を傾けて考えるときの、顔の、フェイスラインの、すっとした所が好き。切れ長の、涼しい目元が好き。
「切れ目ハンサム!」
「おいっ!やだよ!あだ名じゃねーし!呼ばれたくねーし!」
ふふふっ。テツヤの焦った顔を見ると、満足に笑って、ソフトクリームの、チョコソースのかかた部分を食べる。
「じゃなくて、もっと、普通のやつがいいよー。」
「えー。うーん。『ジュンギ』は?」
「ジュンギ?」
「そう。韓国スター、イ・ジュンギの『ジュンギ』!」
「誰だよそれ。」
「だって、似てるんだもん。ジュンギ!ね、決まり!」
「うーん。別に、悪くねーか。」
口を閉じて、意味有り気に、にっ、て、口角を上げて笑う顔も好き。テツヤは、珈琲に口を付けている。
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