からっぽな街
「え。三週間もですか!すごいですね!」
あー。もう。ハナも、返事するからいけないんだよ。調子乗んじゃん。話が長くなるんだよ。
「いやー。山っつーのはよ、そういうもんなんだよ。俺らの仲間ん中ではよ、もう、テントから飯盒、墨、あと、米に、食材だろ、あとサバイバルナイフに、酒だろ。もう、そういうもんを、全部担いで、山ごもりしたもんだぜ。すっげー荷物なんだよ。リュックもよお、担ぐだけで、三十キロぐらいは、あったと思うぜ。」
「ええ。三十キロも!」
「そーだよ。そんなんを担いでよ、三時間以上歩いて、水の側のとこにテント張ってよ、山ん中に籠もるんだよ。」
「えー。すごい。」
「いや。そんなん、山に入る人間には、当たり前なんだよ。重たい荷物を担いで、山に籠もる、腹が減ったら、自分達で食材を調達する。魚だってな、釣ったらその場でさばくんだぜ。こんなサバイバルナイフでな、ぱっぱとな。」
「へー。」
こら、ハナ、感心するな。調子に乗るから。店長の話に、一度も相槌を打たずに、ナポリタンを食べ続けた。
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