からっぽな街
その岩場をよじ登る。戦いの末に勝ち残った英雄達の上を、滑り落ちないように、両手両足で、四つん這いになりながら、岩場の先端を目指してゆっくりと進んでゆく。
岩場に四つん這いになっている私は、恐らこの広い世界で、ちっぽけな虫みたいな存在なのだろう。自分のことしか見ていないと、自分が一番大きなものに感じる。でも、それは、一番小さなことだろう。
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