からっぽな街
誰も居ない海は、遊泳者を気にすること無く重たく荒い野生の波を、攻撃的に岩場にぶつけ、岩の形を変えている。海と、陸の、潜在的で、本能的な、ケンカに思える。
この岩場ではなく、もう少し場所を変えれば、穏やかな波のあるコバルトブルーの海もある。しかし私は、こういう風に、泳ぐことの出来ない、人を寄せ付けない、深い青の、野生の海が好きだ。岩場に打ちあがった波のしぶきが、こういう風に、顔にかかるくらいの。
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