からっぽな街
「ほら、困らないでよ。」
「ええ。いい子って、わからないんだけど。」
「ほんとに?」
「ほんと。どこが、いい子なの?」
抱いていたぬいぐるみを棚に戻すと、また、ショッピングモールを歩き始める。好きなショップに、パーカーを買いに行くという。
「だってさ、ユウは、テツヤの前で、いい子でいようとしてるよ。」
 「うーん。どうなんだろ。でも、迷惑かけたくないとか、嫌われたくないって、気持ちは、あるのかも。」
「そう。それだよ。どうして、いい子ばかりでいるの。もっとさ、人間ってあれだよ。思っているよりも、ずっと、完璧じゃないんだよ。」
 「え。どういう意味?もっと、わかりやすく言ってよ。」
 ハナの、回りくどく、人を、悟らせるような説教じみた話し方に、イラ付いてしまう。
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