からっぽな街
「ゆん、俺、おかわりしてくる!」
よく食べるきらりが、皿を持って立ち上がり、ごはんのおかわりをもらいに行こうとする。
「転んで泣くなよー。」
「うるせー。」
と照れながら言うものの、おかわりに行くきらりが、歩いていたのを見逃さなかった。
「今夜は、肝試しやるんだよね。」
リッツが、最後の一口を放り込みながら言う。
 「きゃああ。肝試し。こわーい。」
「ね。ね。恐い?」
顔をタオルで覆い、恐がりながらも、興味津々に聞くニケとちゃちゃ。
「ゆん、肝試しってなに?」
まだ半分以上のごはんが皿の上に乗っているぽくが尋ねた。
「え。肝試しっていうのは、……。」
「あのね、外でお化け屋敷やる感じだよ。夜の道を懐中電灯で照らして歩いてね、途中で、お化け役の人が、わあ!って、おどかすの。こわいよ~。」
リッツが、説明する。
「ううぅ。」
と、ぽくは、私の腕にしがみついてしまった。
「おいおい。まだ、肝試しじゃないぞ?ぽくは、ごはんを食べなさい。」
わはははっ。と、女の子達が笑う。
「なになに?」
「あのね、ぽくがね、うけるんだよ。」
ちゃちゃが、話始める。
お皿に、ごはんをたくさん乗せてもらった、きらりが話題に混じろうとする。
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