からっぽな街
「懐中電灯持った?」
「シャキーン!」
「ばか。ふざけるな。」
リッツに怒られ、しゅんとするキラリ。肝試し前のテンションの高さは、尋常ではない。 
さっき、恐い話を聞いたあとなので、子ども達は、ずっと、ソワソワしている。特にちゃちゃは、「恐かった。恐かった。」と、ずっと呟いている。
あと二組が行けば、次は、私たちの班の番だ。懐中電灯係は、きらり。先頭を歩いて、足元を照らすのだ。
あとの四人は、手を繋いで、順番を待っている。
向こうから、「きゃー!きゃー!」という、叫び声がするので、恐ろしさに背筋が凍った。
みんなで、小さく固まって、作戦会議をした。
「絶対に、手、話さないでね。」
「うん。ちゃちゃも、離さないでね。」
「置いて行かれたら、泣くからねー。」
と、女の子らしい会話。
「ねえねえ、お化けが出たらさ、金玉蹴飛ばしてやろうぜ!」
こうやって、こうだ!こうだ!と、キックをする真似をするキラリ。
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