からっぽな街
「ごめんごめん。」
ぶー。と、リッツに変な顔を見せるちゃちゃ。
ちゃちゃの、素直な表情は、かわいくて仕方がない。同時に、表現できるちゃちゃを、羨ましくも思う。 
「ねえ。夜は、熊が出る、って、言ってなかった?」
山道の少し先を歩くきらりが、思い出したように言う。
「うん。でも、熊避けに、高圧伝電線が張ってあるから、だいじょぶなんでしょ?」
「高圧電線?」
半開きの口で、ぽくが尋ねる。
「電流が流れてる、ワイヤーみたいなやつのことだよ。」
リッツが、説明を始める。
「ほえ?」
「ほら、畑とか、森の奥のとことか、電線がいっぱい絡まってる柵があったでしょ?」
「ああ。」
「あれはね、夜になると、熊避けに、電流が流れるから、触っちゃいけないの!」
「どうなるの?」
「触ったらね、感電して、びりびりびりっ!こげちゃうんだよ。」
「こえー。おで、触らない!」
「そうだね。」
会話が無くなると、しんとして恐いので、なるべく、みんなで歩きながら話した。
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