からっぽな街
「そう!ぽく!そのままっ!」
リッツが、叫ぶ。
「俺、バケツ持ってくね。」
たっぷりと水と魚が入ったバケツを持って、ふらふらしながら、ぽくの側へ掛けて行くきらり。
「ふぅぅぅう!」
ぽくが、力いっぱい竿を持ち上げた瞬間、水の中から、針に食いついた魚が飛び出した。
「わああー!やったー!」
「ぽくー!すごいぞー!」
「やったー!」
拍手をして、喜ぶ。
「ぽく!魚を持って、針から外すんだ!バケツに入れろ!出来なかったら、俺、やるから!」
バケツを持ったきらりは、言った。
「おで、できるよ。」
半開きの口のまま、魚と睨めっこしているみたいな真剣な目をして、ぐっと、力いっぱいに釣糸にぶら下がった魚をつかんだ。
< 252 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop