からっぽな街

平日、午後四時を過ぎたところで、レストランの動きが穏やかになる。ランチの終わりと、ディナーの始まる間に来る客といえば、ケーキセットとおしゃべりを楽しみに来る主婦たちや、学生たち、1人客くらいだからだ。
運ばれてきたケーキやシュークリームをさっさと平らげると、テーブルの上にティーカップや、珈琲カップを乗せたまま、おしゃべりに夢中になっている。飲み物が無くなれば、お冷やグラスにお水を注いで飲んでいる。
私は、ホールに立ちながら、全体を見渡し、お冷やポットに浮かべるレモンをスライスしている。この時間は、比較的静かで、大忙しで走り回っているランチタイムには気がつかない、店内に流れているクラッシック音楽が聞こえてくるのだ。
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