からっぽな街
誰も居ない街。人を失った街には、感じる音と、目に見える音がある。体中に、染み渡る音。                   
どうやら、街を覆っている空は、この街には、大きすぎる。だって、空っていうのは、地球全体を覆っているのだもの。
空の中にある地球は、空間の中に浮かんでいる、ちっぽけな手作り模型のようだ。まん丸の粘土の塊みたいな地球に、誰かが、家や木を挿しこんだだけの、街っていう、簡単なもの。そういうものに思える。

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