からっぽな街
本当は、山中さんが苦手だった。テツヤと同じ職場の、同じ大学出身で、仲良くしてもらっているという先輩なのだが、恐らく私を嫌っているのだと思う。
山中さんは、ぱっと見、二十五歳のテツヤと同じくらいに見える。だが、実際は三十歳になるという。坊主に近い短い髪と、はっきりとした大きな目、くせのない明るい話し方、それから、筋肉質によく太っているせいで、肌に張りがあり、実年齢より若く見えるのだ。
あの人の洞察力というか、人を観察する能力は、鋭すぎる。一度性格を見抜かれると、私は涙が零れそうになる。ずばずなばと、心の中のことを言い当てられることは苦手だ。

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