からっぽな街
「ははっ。いいじゃん。ユウちゃんは、よく働くし、家のこともきちんとしてくれる頑張り屋だって。」
「えー。そんなことないですよ。」
テツヤは、恥ずかしいのか、目線を合わせずに、刺身ばかりつついている。
「あそこのレストランでアルバイトしてるんでしょ?」
「はい。Solatioっていう、カフェレストランです。」
「そうそう。それそれ。俺、英語、苦手だからさー。」
随分大げさに振舞うので、おかしかった。
ふふふっ。イタリア語ですよ。と笑いながら、お酒を一口飲んだ。
運ばれてきたサラダを三枚の皿に取り分け、テツヤのビールが減っていたので、山中さんの分も一緒に、追加でジョッキを頼んだ。
 ジョッキが空になったので、山中さんが、灰皿を引き寄せ、煙草に火をつけた。
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