からっぽな街
テツヤは、楽しそうに話しているけれど、平気なのだろうか。今まで、一度も煙草を吸ったことがないと言っていた。
笑いながら吸う煙草は、手に持っている時間が長く、時間がかかるので、もくもくと煙が立ち昇り、苦しくて仕方がなかった。よっぽど、ハンカチで、鼻と口の周りを覆いたかった。
他愛も無い話が続き、酒も食事も、快く進んだ。山中さんの会話はおもしろく、よく笑った。時には、腹を抱えるほど笑ってしまい、力が抜けて、隣に座っているテツヤに、何度もぶつかってしまった。山中さんの話しは、表情と効果音が豊かで、どんな話にも、必ず笑いが含まれている。その目玉が大きく見開いたり、切れのある大きな声で突っ込みが入ると、どうしても噴出してしまった。
< 83 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop