Magical☆Player
“練習”
先生は一言そう言った。





「高二のソロ。さすが選抜されたメンバーだけあって綺麗にまとめてるけど、それだけだね。さっき合奏で私がアドバイスを参考にもっと練習しておいで。」

「はい」

「うん、期待しているよ」



先生はにっこり笑うと、立ち上がりドアを開けて帰っていった。





練習。





当たり前のことを言われてしまった。





私は高二のみんなを振り返った。
あと1ヶ月半。
とりあえず、私達高二がどうにかしないと・・・

私は、ソロ持ちの高二に順番に目を合わせて聞こうとした。



「ソロ担当のみんなに聞くけど…」


「もういっぱいいっぱいなのよ!」



しかし、その涙ぐんだ声に阻まれた。
クラリネット担当の真紀だ。

今日は少し手厳しく指導されていた真紀。
合奏中、はい、と返事する声も少しかすれていたようだった。



「後輩も教えながらソロの練習なんて…!」



管楽器は各楽器、高二が一人か二人しかいない。
分担が難しい、それは分かっていたつもりだった。



「頑張ったつもりだったのに…合奏ですごく注意されちゃった…」

「大丈夫!真紀ちゃん上手だった!」



夏が励ますように言ったが、雰囲気はますます暗くなるだけだ。



「弦楽器は・・・いいわよね、同学年に必ず二人以上いるもの」

「真紀、」

「私なんて凛花みたいに元々できる方じゃないから、人一倍努力したのに・・・!それなのに・・・!」


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